癒しの心 Ever Comfort [ひとり言]

Comfort.jpg 花言葉は慰め・思いやり

私たち内科開業医は、冬のこの季節になると、インフルエンザ、急性胃腸炎、細菌性呼吸器感染症などの急性疾患の治療で大わらわの状態になります。

昔と違い、今ではインフルエンザに良く効く抗ウイルス剤が何種類も出てきました。
細菌性肺炎も、以前は胸部X線で肺炎像があれば開業医で治療をするのは困難で、二次病院、三次病院へ治療の依頼をすることが大半でしたが、抗生剤と開発と使用法の改良によって、外来レベルでの治療が可能になってきました。

現代医学は、病気を治癒すること、健康寿命を延ばすことが大きな目的ですが、まだまだ疾病を撲滅するには長い時間かかりそうです。

新しい病気や、感染症も出現しています。

高齢者がますます増加していますが、健康な高齢者ばかりではありません。
ご自分で食事を取ることもできずに、体も不自由で、胃瘻で栄養を管理される要介護者も増加の一途をたどっています。その、要介護者は本当にその状態を望んで治療を受けておられるのか、意思疎通の術すらない状態です。

私たちが、終末の医療を考えるとき、常に壁に突き当たります。

今の医療は人を癒しているのだろうか?

医療と癒しが平行して発展していかなければならないことに、異を唱える方はいないだろうと思います。

しかし、現実は、「治療=癒し」になってはいないことが多いのは、治療経験をお持ちの方なら誰でも感じておられることでしょう。

それに気づいた一部の人たちが、「統合医療」や「ホリスティック医療」の中に、「癒し」の手法を応用し始めています。

しかし、まだまだ少数派です。

私自身、救命救急センターで働いていた頃は、この治療の先に「癒し」があると信じて、最先端医療に身を投じてきました。

しかし、現実は治療=闘病の戦場であり、「がんばりましょう。少し辛抱しましょう。」が口癖の医師になっていました。

急性期の治療の最中に、十分な癒しをもたらすことができていないことに気づいたのは、医師になって20年。総合病院を去ることに決めた時です。

今年1月(今月です)、私のクリニックも法人化を行い、“医療法人エバーコンフォート”として再出発をしました。

エバーコンフォートは Ever Comfort=生きている限り安楽でいること。つまり「癒し」を追求することを目的として名付けられたものです。

この命名の原点は、16世紀のフランスの外科医、アンブロアズ・パレの言葉に由来します。

To cure sometimes
To relieve often
To comfort always.

医の原点ともいえるこの言葉は、まさに癒しの心を表しています。
もちろん、パレの時代には治療法も今から考えればお粗末なものでしょうから、治療(Cure)できることより、苦痛を取ったり(Relieve)、慰め・安心させる(Comfort)ことが重要な時代であったことは確かです。

しかし、治療法が進んだ今こそ、医療者が忘れてはいけない「癒しの心」ではないでしょうか?

残念ながら、今の医学教育の中で癒しの心を育む医療倫理を教えるには不十分です。
全ては医療者一人一人の心に任せられています。

この、パレが残した医の原点ともいえる「癒しの心」は、医療者だけでなく、全ての人に贈られた言葉であり、人を支える原点と考えます。

言葉を発するとき、行動を起こすとき、常に自分にとっても、相手にとってもComfortable(心地よい)でありたいと考えます。

presented by
石原クリニック
  http://www.ishihara-clinic.jp/
石原クリニックセラピールームETERNAL COMFORT
  http://www.ishihara-clinic.jp/eternal/index.html

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