最先端医療と全人的医療 [ひとり言]

Hawai2432.jpg 医学は全ての人のために

先日、私たち循環器専門医にとって、最大級のイベントである循環器学会に行ってきました。

循環器学会は、世界中から世界最先端の研究をされている循環器領域の学者を一堂に集めて2万人以上が参加する国内最大級の学会です。

今年は福岡で行われています。メインテーマは
愛と情熱 ―アジアから世界へ― Love and Passion -from Asia to the World-
昨年は震災で開催中止となり、今年は震災復興を受けてテーマもずいぶん様変わりをしたようです。

最近は、遺伝子解析を用いた循環器疾患の病態解明やリスク判定、あるいはiPS細胞や骨髄幹細胞を用いた再生医療と言った最先端医療の話題が中心でした。

ところが、そうした最先端医療の話題とは別に、今年のテーマに象徴されるような全人的医療の話題も取り上げられるようになってきました。

鹿児島大学が中心で研究している“Waon therapy”。 日本語で書けば和温療法となります、最近、アメリカ学会でも発表され話題を呼んでいます。

60℃の低温サウナが、血管拡張作用や交感神経抑制作用があることを応用し、心不全や末梢循環障害の患者さんを治療する療法です。

すばらしい効果を発揮しているとのことで、脚光を浴びていますが、残念ながら保険適応になっていません。
鹿児島県では開業医の先生が自費で応用しているそうですが、設備費や電気代を考えると持ち出しになるそうです。

私たちが駆け出しの循環器科医だったころは、心不全患者には安静が必要で、入浴も控えた方が良いと指導されました。
もちろん、その後に低温入浴や心臓リハビリテーションが、心不全の治療や、QOL、予後の改善に功を奏しているといった治療法の変遷がこの20年の間に起こってきています。

今、低温サウナの効用が、最先端医療を扱う循環器学会で話題にのぼるところを見るにつけ、これまでいかに「重箱の隅」的な研究が重視され、ホリスティックが医療の研究が立ち遅れてきたかを物語っているような気がします。
批判しているわけではありません、同時に発展してこなかったことを残念に思っているだけです。

今回の循環器学会は、鹿児島大学が世話人となっていましたが、シンポジウムの演題に心不全患者に対するホリスティック医療の話題が取り上げられていました。

医学も、遺伝子解析や、再生医療がかなり研究し尽くされ、後は今後の臨床応用への発展を待つばかりになってきました。
つまり、行き着くところまで来た感があります。

最先端医療をめざす学会の中で、ホリスティック(全人的)医療に目を向けられたのは、医学の後退ではなく、医学が目指す必然的な方向性のように考えられ、うれしく思います。
愛と情熱というテーマも、そのあたりからも感じられました。

presented by
石原クリニック
  http://www.ishihara-clinic.jp/
石原クリニックセラピールームETERNAL COMFORT
  http://www.ishihara-clinic.jp/eternal/index.html

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